補正を無くして

泡のような愛だった。
aikoはどうしても今を見えずらくしてしまう。桜の時がはじめてラジオから聴こえたころのことだとか、雪の中買ったばかりのiPodminiで聴いた三国駅とか。フィクションの恋愛に憧れを感じながら触れていたころのことばかり思い出してしまう。
いつの間にか体感が歌詞に追い付いて、追い越して行ってしまった。aikoを聴くのは年末年始のCDTVとその前後だけになっていった。変わらないaikoに安心を求めるようになっていたのかもしれない。
新しい曲は自分のための歌じゃなくなっていた。誰か知らない人のための、必要な人のための歌になっていたように感じていた。
純粋に楽しめないから変態作曲家としての側面を横目で眺めるようになったのがつい最近の話。
それでも新譜が出るのは楽しみで、でも買うのは怖くて。聴かないかも知れないなって思っていた。片想いしてた女の子を思い出すみたいに。
でも買ってよかったって今は思う。音楽は聴き流すことも出来るから、少し残酷だけど、こわがりながらでも正面から聴いて見たらaikoはちゃんと変わってたし、自分も変わったけど、変わってないところもあるって事に気づくことが出来た。歌詞カードを眺めながら聴くことはしてないけど、時々聞こえるaikoの言葉は今でもずっと響くところがあるよ。泡のような愛だった (初回限定仕様盤)