止めるな このままじゃ誰かに止められてしまうから

映画館に足しげく通うほど映画が好き、と言うわけではないけれど映画の事は割と好きだ。恐らく自分の中の感覚として、絵が好きだ とか 音楽が好きだ と同じような距離感で(美術館に通うでもないし、ライブにしょっちゅう行くわけではない)。

夏休みが終わってしまう前に、カメラを止めるな!を観てきた。ネタバレは絶対にダメだと聞いていたから、事前情報は極力入れずに臨んだのだけど、まあ皆の忠告はその通りで、内容をほぼ知らずに観て良かったと心から思った。

なんというか、もう、愛だなと。作品がどれほど素晴らしかったとか、そんな話は正直どうでも良くて。1つの方向を真っ直ぐに見て突き進む事がどんなに美しいかを思い知らされたというか。小手先とか芸術性とかそんな自分をひけらかすような事はせず、只々愛の確認が続く。こちらに背中を向けたまま突っ走ってるのに、信じて進んでいるから人の声なんて聞く気なんて無いのに、時々こちらを振り返って進む方向を確認して来るような。

仔犬みたいな、辿々しくエネルギーに満ち溢れた走り方をする。

こちらももちろん出来上がった作品を変えることなんて不可能な訳なんだけど、気持ちとしては、いいよいいよ、行け行け、そのまま、つんのめってても迎えに行かないし、でも、どこも行かないからそのまま走りな、見てるし、応援するよ!みたいな。作品と観客の信頼関係を信じてる、すごく純粋な愛に溢れた映画だった。映画ってこんなに楽しかったんだ、現場もきっと楽しんでたんだ、映画が好きで好きでたまらないんだ、全てがこうだったらいいのに、人が作るものが全てこんな環境にあったら良いのに、と 思わせてくれる、すごく幸せな作品だった。

もちろん、商業ベースではこんな事、奇跡でしかない。そんな部分も理解出来ているつもりになるくらいにはスレてしまっているのだけれど。